天国ニョーボという本を読みました。
作者は須賀原洋行という人で、作者の奥さん(よしえさん)のガンの闘病記です。(全4巻)
日本のガン治療の実態がよくわかり、とても勉強になりました。
ただ、私はこの漫画で感じたのは
「元気な内に、家族や周囲の人への感謝を伝えておくべき」
ということでした。
この本の4巻で印象に残っているシーンがあります。
もう意識が無いよしえさんに、家族が語りかけるシーンです。
「意識は無くとも聞こえているケースがある」
との助言で、夫と3人の息子は、個別によしえさんに語りかけます。
どんな内容なのかは書かれていません。
でも、それぞれがよしえさんと二人っきりの時に何かを語りかけているシーンは、
とても切ないものでした。
ただ、もし自分がよしえさんだったとして、家族から思いもよらぬ言葉をかけられたら、それこそ文字通り、死ぬほど辛いなと思うのです。
「もっと早く言ってよ!!リアクションできないじゃないか!!」
的な。
で、どんな気持ちが伝えられなかったら嫌か、という事を考えたのですが、
「感謝」
を伝えられないというのはやはり文字通り死ぬほど嫌だと思いました。
恨みつらみ、嫌い、とかは別に伝えなくていいなと思いました。
なので、やはり普段から感謝の気持ちはちゃんと言葉にして伝えていきたいなと感じました。
よしえさんのキャラクターはとても独特で、須賀原洋行さんの漫画にはよしえさんが多く登場します。
私はモーニングでこの人の連載を10年以上前に読んでいたのですが、最近この「天国ニョーボ」でよしえさんがお亡くなりになったと知り、とてもショックを受けました。漫画では元気いっぱいで、そんなに早く亡くなるとは全く思えなかったので・・・
もう一つ、印象に残ったシーンがあります。
脳にガンが転移して、寝たきりになったよしえさんは時計を見ても時間がわかりません。
時間を口頭で言ってもらえれば理解できます。
そこでよしえさんは息子の一人(反抗期であまり喋らない)に、
時間を口頭で伝えてもらいます。
「4時17分だよ」
たったそれだけなのですが、よしえさんの表情は幸福感でいっぱいになります。
息子とコミュニケーションが取れた事が、とても嬉しかったのでしょう。
人間、こんなにちょっとしたコミュニケーションで幸せになれるのだなぁと再認識しました。
自分にも、エレベーターで乗り合わせた同期と少し会話を交わしただけで、
鬱屈した気持ちが吹き飛んだ事があります。
たった数秒のコミュニケーションでも、人を救うこともできれば、救われる事もある。
これも「天国ニョーボ」が再認識させてくれた事です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。