生きるのをもっと楽に、楽しく

1976年生まれの男性。 コピー機メーカー勤務の会社員です。 いろいろ生き辛さを感じていて、ちょっとずつでも生きるのを楽に、 そして楽しくしていきたいなぁと感じています。 このブログを通じて波長の合う人とつながれればいいなぁと思っています。

年月を経ても全く色褪せない星新一氏の作品「殉教」

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学生時代、星新一のショートショートをよく読んでいました。

SFを扱っていたのが好きだったのと、短いから長文が読めない私でも楽しんで読めたからです。(いまだに長編小説とかは読めません。実用書ばかり)

もう読まなくなったし、文庫は手元から処分して久しいのですが、なぜか最新よく思い出す作品があります。

 

「殉教」という作品なのですが。

この作品には、ある機械が登場します。

その機械は、あの世の人と会話できるというものなのですが、あの世の人は口を揃えて、あの世は素晴らしいと言います。

人々はその機械であの世の人を呼び出し、ひとしきり話をした後、どんどん自殺していきます。

自分の近しい人、信頼する人の言葉だから信用するんですね。

「死人がみんないるんだったら、あの世は人でいっぱいなはず。窮屈じゃないの?」

「いや、空間という概念が無いから、そんなことは無いよ、快適だよ」

的な会話があった気がします。面白かった。

そして世界が死体ばかりになった中、ブルドーザーで死体を片付ける男が出てきます。

一人の女性が彼に尋ねます。

「何してるの?」

「死体を片付けてるんだよ」

「なんで死ななかったの?」

「いやよくわからないけど、なんとなく死ぬ気になれなかったんだよ」

「私もついていっていい?」

「いいよ」

「これからどうなるのかしら?」

「そんなこと、わかるものか」

こんな感じの会話で物語が終わった気がします。

 

星新一のショートショートは、年月を経ても色褪せません。

それどころかむしろ、現実味を帯びてきて臨場感が出てきているとすら思います。

この話だって、AIが進化したら作れるかもしれません。

悪意を持った人間が、膨大な会話データを元にbotを作ったら、できちゃいそうです。

 

「アレクサ、死後の世界ってどんな感じ?

「それは素晴らしい世界です、早く行きましょう」

「オッケーグーグル、人は死んだらどうなるの?」

「素晴らしい世界で、楽しく幸せに暮らせるでしょう」

 

あと、私はこの、ブルドーザーで死体を片付ける男に惹かれます。

なんか、すごく、うらやましい。

私も静かな世界で、死体をブルドーザーで片付けたい。

自分でもなんでそんなことを思うのかわかりませんが。

私、「静かな非日常」が好きなのかもしれません。

これについてはまた別の記事で書いてみたいです。

 

ようこそ地球さん (新潮文庫)

ようこそ地球さん (新潮文庫)

  • 作者:新一, 星
  • 発売日: 1972/06/19
  • メディア: 文庫
 

今回書いた描写は私の遥か昔の記憶だけを頼りに書いています。

かなりいい加減ですのでしっかり知りたい方はこちらをどうぞ。

 

psalm-121.hatenablog.com

 

今回、この記事をを書くにあたって、

「星新一 人がどんどん死ぬ ブルドーザー」

 

でググって出てきたブログがこちら。

助かりました!

 

www.youtube.com

 

「年月を経ても色褪せない」

と言えばこちらも。

コロナ騒動の今、こちらも臨場感が感じられます。

「これはウイルスと人との戦争だ」

の言葉通り、雰囲気は戦時に近いのかなと思います。

その空気感を感じながらこれを見ると、当時とはまた違った見方になりますね。