「自然が良いって言うけど、懐古主義なんじゃないの?科学的に証明されてるの?」
って感じの、頭でっかちな方(私です...)にオススメの一冊です。
私はこれを読んで
「早く、自然に触れ合いたい・・・」
と感じ、職場、自宅の近くに大規模な公園や川があることに感謝しました。
人が自然に触れ合うことによる効能について、多くの研究結果を交えながら紹介されています。
また、研究結果の羅列ではなく、筆者の日常や取材での様子がエッセイっぽく描かれており、読んでいて楽しい気持ちになりました。
洋書は大体読みにくいものですが、この本は比較的読みやすかったです。
筆者の軽妙なトーンもそうなのですが、第一章が、日本が舞台になっていたというのも大きいです。
青森とか、秩父とか出てきますからね。
「ん?洋書だよね、これ?」
と本書を見返したほどです(笑)。
以下、印象に残った点をつらつらと書いていきます。
ヒノキの香りでNK細胞が20%増加
本書で紹介されていた実験で、部屋にヒノキから抽出したオイルを加湿器にセットしたら、3日後には被験者のNK細胞が20%増加したそうです。
そして嬉しいのは、天然のヒノキではなく、アロマテラピー用のオイルで充分との事。
これは試してみたくなりますよね。
わざわざ森林浴に行かなくてもいいし。
ドラクエファンにとってヒノキと言えば
「ひのきのぼう」
ですが、勇者の癒しになっていたのかもですね。
月に5時間、自然の中で過ごすと効果あり
ある研究結果では、月に5時間以上、自然の中で過ごすと効果ありとの結果が出ているそうです。
気分が回復し、
気持ちが上向き、
活力が湧き、
ストレスが軽減される、
とのこと。
これは町の公園でも良いらしいです。
月に5時間ってことは、週に1時間15分。
1回30分だとしたら3回で超えられる時間です。
土日に長めの散歩でこなせそうですね。
ラフティング合宿でPTSDが回復
ラフティング合宿でPTSDが回復した事例が紹介されているのですが、このプログラム参加者の女性退役軍人の体験が凄まじいです。
強姦が酷く、加害者が上官、下士官、民間人と多彩。
そして裁きを受けたのは1件だけという理不尽さです。
皆、最もつらいのは、兵役中に受けた怪我の慢性的な痛みとの戦い、と語ります。
PTSDになると扁桃体の活動が極端に激しくなり、本物の脅威と思い込みの脅威の区別がつかなくなるのだそうです。
そしてトラウマの記憶が海馬を萎縮させ、記憶障害を引き起こしてしまう。
そんな人達がラフティングを通してみるみる回復していくのは、読んでいて驚きでした。
命を奪いかねないものが、どこで待ち受けているか分からない。全員で生き延びるには、ひとりひとりが頑張るしかない。誰もがその責任を負っている。だから、みんなの絆が自然と強まる。人生ってシンプルな方が生きやすいでしょ?軍隊と同じで、ここにいれば40種類もの歯磨き粉からどれかひとつ選ぶ必要なんてない。自分の居場所がある。みんなに居場所があるのよ。
プログラム終了後、参加者が回復して活力を取り戻す様子は、感動的でした。
アメリカでは幼稚園児の抗うつ薬使用が急増してる
1万人以上の園児がADHDの治療薬を服用している。
さすがアメリカ、光も強いですが、闇もまた深いです。
シンガポールでは国のトップダウンで緑化が行われている
シンガポールでは国を上げて緑化されてて、国民の70%が緑のある場所から400メートル以内で暮らせているそうです。
さすがという感じですよね。
しかし、筆者によると、作られた自然は癒しになっても、畏敬の念を抱くには至らなかった、とのこと。
個人的な感覚ですが、日本でも、東京の方が大阪より緑が多い気がします。
何か施策があるのかもしれません。
ネイチャー・ピラミッドという概念
ネイチャーピラミッド、という概念があるそうです。
下記のような感じ。
- 毎日: 町中の公園で一息つく
- 毎週: 緑豊かな大きな公園や川辺でリラックスする
- 毎月: ハイキングや森林浴に出かける
- 毎年: 大自然に畏敬の念を抱く
「簡単じゃん」
と最初思ったのですが、実際できているか、と振り返ると、全然できていませんでした(;・∀・)。
近くの木や自然に触れ合うことから始めたいと思います。
おまけ 自然が大嫌いだった私
幼少期から、私は自然が好きではありませんでした。
汚れるし、疲れるし、トイレ汚いし・・・。
なんせ、小1の頃、あらかじめ米を洗って持って行った事がある子供ですからね。
「効率化になる!」
という強い思いがあったのですが(;・∀・)。
タイムマシンで当時に戻り
「その心意気は良いが、米は洗わず持っていけ!」
と自分に言ってやりたいです。
今考えると私は起立性調節障害だったと思うので、朝早いのもつらかったのだと思います。
かわいそうな私( ;∀;)
とまぁ、幼少期の体験がずーっと残ってて、自然が好きになれなかったのですよね。
けど、今振り返ると、大人になってから自然に触れ合って、癒やされたり楽しいなと感じる経験がけっこうあったと思います。
けど幼少期の体験で全部上書きしていたんですよね。
私も大人になってからの時間が、子供の時間より長くなってしまいました。
そろそろ幼少期の嫌な思いから開放されたいなと感じました。
読むだけで自然に触れ合えた気分になり、
読んだ後は近くの公園に走り出したくなるような一冊です。
都会の生活に息苦しさや疲れを感じている方は是非ご一読ください!^^